メールマガジン「和服の基礎知識」バックナンバー〈028〉

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○  ●○● 和服の基礎知識 ●○● 〜日本文化を愉しむために〜  ○
●                   第28号 2004/03/18発行   ●
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【尺貫法(5)】(しゃっかんほう)
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◆升(しょう)
尺貫法における容量の基本単位。
液体、穀物の量を測る方形または円筒形の容器「枡(ます)」に
すりきり一杯に入る量を基準とします。

◆尺貫法の体積・容量の単位
 勺・合・升・斗・石

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◇勺(しゃく)
尺貫法における容量の単位。升(しょう)の100分の1。合の10分の1。
約18ミリリットル。

1勺=1/10合=1/100升
  ≒18.039ミリリットル

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◇合(ごう)
尺貫法における容積の単位。升(しよう)の10分の1。
約180ミリリットル。

1合=1/10升
  ≒180.39ミリリットル

米1合でおよそ茶碗2杯分のご飯が炊けるます。
料理に使う普通の計量カップが200ミリリットル入ります。
米を計るための180ミリリットル(1合)計量カップも市販されています。

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◇升(しょう)
尺貫法における容量の基本単位。斗の10分の1で、合の10倍。
約1.8リットル。

640年唐制に基づき大升(現在の約0.65升)を定めました。
701年に大宝令で確定します。
律令制の崩壊後、各地で様々な枡が使われ混乱しましたが、
1586年、豊臣秀吉の太閤検地を機に、関西方面で京枡が広く使われ、
1669年(寛文9年)、江戸幕府が全国で使う公定枡を京枡(きょうます)に
統一しほぼ現在の量になります。
1875年(明治8年)に公定枡の内径を縦横4寸9分,深さ2寸7分と規定します。
1891年「度量衡法」で寸の長さが1/33mに規定されたのに伴い、正式な数値が
決定されました。

1升=4.9寸×4.9寸×2.7寸=64.827立方寸
  =(4.9×1÷33)×(4.9×1÷33)×(2.7×1÷33)
  =2401/1331立方デシメートル
  ≒1.80386リットル
  =1/10斗=10合=100勺

※1立方デシメートル=1000立方センチメートル=1リットル

▽京枡(きょうます)
戦国時代、京都中心に使用された枡。
豊臣秀吉は全国統一の後、太閤検地の際に、それまで規格が定まっていなかっ
た枡を京枡に統一しました(1586年)。
江戸初期は関西の京升と江戸の江戸升を併用していましたが、
1669年(寛文9年)、全国で使う枡を京升(一升枡は方4寸9分、深さ2寸7分)
に統一しました。
1875年(明治8年)、公定枡を縦横4寸9分(約14.8cm)、深さ2寸7分
(約8.2cm)と規定しました。

▽江戸枡(えどます)
徳川家康が1590年(天正18年)江戸枡座を開いて製作・販売させた枡。
一升枡は方5寸(約15cm)、深さ2寸5分(約7.6cm)。
関西では京枡、関東では江戸枡を併用していましたが、
1669年幕府はその寸法を改め、京枡と同じ大きさとし、全国的に統一しました。

江戸枡1升=5寸×5寸×2.5寸=62.5立方寸
     =(5×1÷33)×(5×1÷33)×(2.5×1÷33)
     ≒1.7391リットル

つまり、江戸枡より京枡のほうが少し量が多くなります。

もともと太閤検地以前から方5寸、深さ2寸5分の枡も使われていました。
それをあえて半端な数値の京枡に統一したのは、
同じ一升でも京枡のほうがたくさん年貢を取れるからだそうです。
縦横を0.1寸ずつ小さくして深さを0.2寸増やして全体の量はそれほど変わらない
ように見せかけて、実はかなり量が増えるまやかしです。

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◇斗(と)
尺貫法の容量の単位。升の10倍。
約18リットル。

1斗=10升(しょう)=100合(ごう)
  ≒18.0386リットル

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◇石(こく)
(1) 尺貫法の容量の単位。斗の10倍。升の100倍。
  約180リットル。
  米の量としては、1人が1年に食べる米の量=1石とされます。

1石=10斗=100升
  ≒180.39リットル≒0.18039立方メートル

(2) 木材・石材の体積の単位。
  1石=10立方尺=0.278265立方メートル。

(3) 和船の積載量の単位。
  船舶積量測度規則(1884〜1914)によれば、1石=10立方尺。

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◆尺貫法を使った慣用句・語句(体積・容量)

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◇一升瓶(いっしょうびん)
茶色、緑色、透明などのガラス製の口の細長い瓶。
高さ約40cm、直径約10cm。1升(約1.8リットル)入ります
日本酒、醤油、食用油などの液体を入れる容器として使われます。
使用済みの一升瓶は回収・洗浄して再利用されます。

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◇一升入る壺(いっしょういるつぼ)
「一升入る袋」「一升入る柄杓(ひしやく)」「一升入る瓢(ふくべ)」も同じ意。
一升入りの壺には、一升以上は入らないことから。
(1) ものにはそれぞれに応じた限度があることのたとえ。
(2) 同じものはどこへ出しても同じである、事実は変わらないというたとえ。
 「一升入る壺は海へ入れても一升」

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◇一升買い(いっしょうがい)
米などを一升ずつちまちまと買うこと。貧乏な生活のたとえ。

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◇一斗缶(いっとかん)
スチール製の缶で、立方体の上面に注ぎ口がついています。
1斗(約18リットル)入ります。
業務用の食用油、塗料、有機溶剤などの大量の液体の容器として使われます。

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◇冷汗三斗(れいかんさんと)
「冷汗」は「ひやあせ」のこと。三斗は約54リットル。
冷汗をたくさんかくほど、非常に恥かしい思いをすること。
または、すぎたことをあとで思い返してひどく恐ろしさがこみ上げてくること。

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◇千石船(せんごくぶね)
米千石ほどを積載できる大形の和船。
また、大形の和船のこと。千石積(せんごくづみ)。
室町〜戦国時代に出現、1635年江戸幕府は500石以上の大船建造を禁じましたが、
1638年荷船に限り解禁、以後幕末まで多数が諸国回船で活躍しました。
装備は帆が21〜26反(たん)ほど、櫓(ろ)が16〜18挺(ちょう)ほど
ありました。
大体の大きさは,長さ50尺(約15m)、幅25尺(約7.6m)、深さ8〜9尺
(約2.4〜2.7m)でした。

●ごあいさつ●…………………………………………………………………………

 こんにちは。マガジンのご登録ありがとうございます。

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 すみません。今回全然和服に関係ない話ですね。
 あと1回で尺貫法の話が終わります。

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 宮沢賢治の詩『雨ニモマケズ』のなかで
 「一日ニ玄米四合ト/味噌ト少シノ野菜ヲタベ」
 という一節があります。
 「四合」というとごはん茶碗8杯で、一日に食べるには結構な量ですけど、
 戦前の食事はおかずが少ないので、これでも質素な食事になるそうです。

●参考文献●……………………………………………………………………………

『大江戸ものしり図鑑』花咲一男:監修〈主婦と生活社〉
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/439112386X/dearbooks-22
……などなど

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[2006/02/22]
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