メールマガジン「和服の基礎知識」バックナンバー〈003〉 |
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○ ●○● 和服の基礎知識 ●○● 〜日本文化を愉しむために〜 ○
● 第3号 2003/09/18発行 ●
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【袂】(たもと)
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◆袂(たもと)
〔手元の意という〕
和服の袖の、袖付けより下の垂れ下がった部分。
和服の袖の下方の、袋のようになった部分。
広義では、「そで」そのものを指します。
和服の特徴とも言える部分です。
舞を舞ったり走ったり、素早い動きをして「袂を翻す(ひるがえす)」所作は
和服の美しさをよく出しています。
現代の和服では、女物と男物の袖は、脇の部分に違いがあります。
女物と子供物は袖と身頃の脇にあきがあります。
男物の袖の脇は縫いとじてあり、あきがありません。
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◆女物
袖幅
←─────→
───┬──────┐
袖 │ || 袖 ↑
付 │ || 口 │
│ || │
│ || │袖
//|| │ │丈
身 ||||振 │袖 │
八 ||||り 〈袂〉 │口 │
つ |||| │下 │
口 │||_____ノ ↓
│
│
◆男物
───┬──────┐
袖 │ || 袖
付 │ || 口
│ ||
│ ||
│ │
/│人 │袖
││形 〈袂〉 │口
││_____ノ 下
│
│
※ || になっているところはあき(明き)。
※袖のあきは「振り」、身頃のあきは「身八つ口(みやつくち)」。
※袖口の下が縫い合わされていない袖は「広袖(ひろそで)」といいます。
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和服を着なくなった現代でも「袂」を使った慣用句がしばしば使われます。
◇袂を連ねる……同志として行動を共にする。
◇袂を分かつ……仲間と別れる。離別する。縁を切る。
◇袂に縋る(すがる)……願いを叶えてくれるよう偉い人に必死に頼み込む。
◇袂を絞る……涙でぬれた袂を絞る。ひどく泣く。
江戸時代は、手に袋物を下げ持つ習慣がありませんでした。
出かけるときは手荷物を懐(ふところ/衣服の胸に当たる部分の内側)や
袂に入れたり、帯に引っかけたりしました。
反対の袂に袖口から手をつっこんで腕組みするのは男らしい仕草。
遠くのものを取るとき反対の手で袂を押さえたり、
袂で涙をふくのは女らしい仕草に見えます。
●ごあいさつ●…………………………………………………………………………
こんにちは。マガジンのご登録ありがとうございます。
袖口の下が縫い合わされる理由とか、振りがあけられた歴史とか
振袖と留袖の関係とかは長くなりますので、
また別の機会にまとめたいと思います。
もうすぐ秋分の日です。
小学校低学年のころ、毎年秋分の日は近くの天満宮で神楽を舞っていました。
奉納舞の本番には、緋袴の巫女装束を着せてもらいました。
ぼんやりした子供でしたので、どういう着付けかぜんぜん覚えていません。
もったいないことです。今からでは巫女装束を着る機会なんてないのに。
●参考文献●……………………………………………………………………………
『男のキモノ』笹島寿美〈神無書房〉 ISBN4-487358080-3
図書館で見つけた、男性の着物の着付けの本です。
大判で、イラストや写真が豊富。
普通の着流しや羽織袴のほか、裃(かみしも)の着付けも紹介されています。
観光客向けでない地元住民だけで行うお祭りだと、
今でも裃をつける機会がありますから、必要な人はいるでしょうね。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873580803/dearbooks-22
『日本の軍装〔改訂版〕』中西立太〈大日本絵画〉 ISBN4-499-20587-5
和服ではありませんが、日本の風俗資料として面白い本です。
昭和初期の旧日本軍の軍装をカラーイラストで解説しています。
軍服、外套のほか、装備や徽章(きしょう)も詳しく描かれています。
日本語と英語の注釈付き。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4499205875/dearbooks-22
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