メールマガジン「和服の基礎知識」バックナンバー〈049〉 |
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○ ●○● 和服の基礎知識 ●○● 〜日本文化を愉しむために〜 ○
● 第49号 2004/09/02発行 ●
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【笠】(かさ)(1)
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◆笠(かさ)
雨・雪・日光などを防ぐために、頭の上に載せるかぶり物。
柄のついた「傘」と区別して「かぶりがさ」とも言う。
主に植物性の材料を使って低円錐形に造り、紐などで頭上に固定する。
笠の裏面(内側)には、笠を安定させるため頭にあたる所につける小さい
ふとんのような「笠当て」を取り付け、顔の横に輪をたらし、輪につけた
紐をあごの下で結ぶ。
「笠」の字は、中国では『詩経』(周代の詩集)に、日本では『日本書紀』
(奈良時代の歴史書)にすでに使われていた。
はじめは雨具として使われ、後に顔面を隠すために使われ、屋外の労働の際の
日よけ・雨よけとして用いられた。
明治以降は麦藁帽子などの帽子類の普及によって、日常生活における笠の出番
は激減した。
笠の種類は多く、形状による分類、素材による分類、製法による分類ができる。
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◆形状による分類(10種類)〈宮本馨太郎による分類〉
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◇円盤形(えんばんけい)
丸くて薄く平たい形。
◇円錐形(えんすいけい)
とんがり帽子。底面は円で、頂点が一点に結ばれる立体。
◇円錐台形(えんすいだいけい)
円錐の上部を切って平らにした形。横から見ると台形。
◇帽子形(ぼうしけい)
半球形で、端が広がってひさし(つば)が突き出た形。
◇円筒形(えんとうけい)
丸い筒状。
◇半球形(はんきゅうけい)
球体を半分に切った形。
◇褄折形(つまおりけい)
笠のひさしの端を下へ折り曲げた形。
◇桔梗形(ききょうけい)
桔梗の花を伏せた形で先のとがったもの。複数の花弁を並べた形。
◇漏斗形(じょうごけい)
朝顔の花を伏せた形。下が円形で、上部へ行くに従ってつぼんで頭は管状。
◇二折形(ふたつおりけい)
笠を真ん中から半分に折って平らにたたんだ形。
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◆素材による分類
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◇藺(い)………いぐさ。イグサ科の多年草。円柱状の細長い茎を使う。
「編笠」や畳表の材料。
◇菅(すげ)……カヤツリグサ科の葉の細長い草。「菅笠」や蓑の材料。
◇竹(たけ)……竹の子の皮を使う「押え笠」と、竹の茎を薄く削って網代に
組む「組笠」。また「張笠」の骨組みに使われる。
◇檜・桧(ひのき)……薄く削って網代に組む「組笠」、また「塗笠」の土台。
他の素材として、麦わら、稲わら、松、杉、紙、布など。
また補強のため「塗笠」に漆・渋・油などを塗ることもある。
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◆製法による分類
5種類+1種
編笠/組笠/縫笠/押さえ笠/張笠 + 塗り笠
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◇編笠(あみがさ)
素材:藺草(いぐさ)・稲わらの茎など。
形状:円錐形・円錐台形・帽子形・円筒形・漏斗形・二折形
代表的な笠:綾藺笠(あやいがさ)・熊谷笠・目塞笠(めせきがさ)・
深編笠(ふかあみがさ)・一文字・富士颪(ふじおろし)・
天蓋(虚無僧笠)・六部笠(ろくぶがさ)など
※主に日差をよける「日笠」として用いられる。
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◇組笠(くみがさ)
素材:竹・ヒノキなどの削り片・経木(きょうぎ)などを網状に編む。
形状:半球形・円錐形
代表的な笠:網代笠(あじろがさ)・騎射笠
※網代(あじろ)……薄く削ったヒノキ・竹などを斜めまたは縦横に組み
合わせ、網状に編んだもの。
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◇縫笠(ぬいがさ)
素材:菅(すげ)の葉・麦わらなどの茎など並べて糸で縫いあわせる。
形状:円盤形・円錐形・円錐台形・帽子形・半球形・褄折形・桔梗形
代表的な笠:菅笠(すげがさ)……雨笠に使用
市女笠(いちめがさ)・桔梗笠・殿中笠・三度笠・褄折笠・
ざんざら笠・加賀笠など。
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◇押え笠(おさえがさ)
素材:竹皮・ビロウの葉などを、竹の骨組の上からかぶせ、押さえて形作る。
形状:円錐形・帽子形・半球形・褄折形・桔梗形
代表的な笠:竹の子笠・はちく笠・路地笠・蜻蛉笠(とんぼがさ)など
※西日本に多く、晴雨兼用。
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◇張笠・帳笠(はりがさ)
素材:布・紙・樹皮などを、竹の骨組に張る。
形状:円錐形・半球形・褄折形・桔梗形
代表的な笠:陣笠(じんがさ)・饅頭笠(まんじゅうがさ)など
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◇塗り笠(ぬりがさ)
上記五種の笠に、渋・漆・油などを塗って補強したもの。
特に、薄く削いだ板に紙を張った笠を漆塗りにしたもの。
代表的な笠:葛籠笠(つづらがさ)・陣笠・韮山笠(にらやまがさ)など
●ごあいさつ●…………………………………………………………………………
こんにちは。マガジンのご登録ありがとうございます。
× × × × ×
当マガジンが昨年の九月第一週に創刊して、丸一年経ちました。
調べれば調べるほど、日本文化の奥深さに夢中になります。
一年経ったらネタ不足で困るかと思いましたが、まだまだ知りたいことが
あって、終刊できそうにありません。
独りよがりな部分もありますが、まだしばらくおつきあい願います。
●参考文献●……………………………………………………………………………
『日本史モノ事典』平凡社 ISBN4-582-12420-8
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582124208/dearbooks-22
『【縮小版】日本民俗事典』大塚民俗学会:編集〈弘文堂〉
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4335570503/dearbooks-22
『日本民俗大辞典(上)』〈吉川弘文館〉
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4642013326/dearbooks-22
……などなど
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