メールマガジン「和服の基礎知識」バックナンバー〈037〉 |
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○ ●○● 和服の基礎知識 ●○● 〜日本文化を愉しむために〜 ○
● 第37号 2004/05/27発行 ●
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【反物】(たんもの)
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〔反物(着尺地/羽尺地)/反物の幅/洋服地の幅〕
◆反物(たんもの)
大人用の和服や羽織を1着分仕立てるのに必要な用尺をもつ布地。
一反ずつ布地を巻物状に巻いて売られています。
「一反(いったん)」は、布地の大きさの単位で、大人一人前の衣料に相当
する分量です。
普通、並幅(鯨尺の九寸五分)で、長さは鯨尺二丈六尺、または二丈八尺、
または三丈とされます。
着物(長着)用の反物は「着尺地」、羽織用の反物は「羽尺地」と呼ばれ、
長さがいくぶん異なります。
もっとも、最近は羽尺地はあまり織られず、羽織も着尺地で作ることが多い
ようです。
標準サイズの和服は、袖幅と身頃の半分の幅がだいたい並幅におさまります。
和服の布地は幅は縫い代で調整するため裁断する必要がないので、
長さだけ着る人に合わせて裁ちます。
布を折りたたんで用尺(ようしゃく/服を作るのに必要な布地)を見積もり、
両袖と両身頃を先に取り、残り布を二つにして衽(おくみ)と衿を取ります。
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◇着尺地(きじゃくじ)
大人用の着物(長着)1枚を作るのに要する布地。
着尺地一反は大体布幅が並幅で鯨尺の九寸五分(約36センチ)、
総丈約三丈(約11メートル)あります。
振袖用の布地は袂(たもと)の分さらに長く、約四丈(約18メートル)ぐらい
あります。
現代人は体格が良くなっているので、普通の着尺地の反物も12メートル以上の
ものが作られています。
幅も約36センチでは体格のいい現代人では裄丈(ゆきたけ)が足りないため、
最近は並幅が鯨尺一尺(約38センチ)の反物も作られています。
だいたい身長160cmぐらいの女性の浴衣で、12メートル弱使います。
男物は背が高くても、女物と違いおはしょりが要りませんので、
12メートル前後で作れます。
(詳しいことは和裁の本をお調べ下さい)
振袖などに使う絵羽模様の布は、布地を裁断して仮仕立をして模様を染める
ため反物になっていないので、「着尺地」とは呼びません。
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◇羽尺地(はじゃくじ)
大人用の羽織一枚を作るのに要する布地。
並幅(約36センチ)で、昔は長さ約二丈(約7.5メートル)でしたが、現代では
二丈四尺(約9メートル)〜二丈六尺(約10メートル)あります。
着尺地で羽織を作ることもあります。
絵羽織用の布地は裁断し仮仕立てをして市販されるので、普通は「羽尺地」
とは言いません。
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◇疋物・引物(ひきもの)
一疋(いっぴき)を単位として売る織物。ひき。
一疋とは、二反続きになった布1枚です。
アンサンブル(長着と羽織のセット)を仕立てたりします。
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◇呉服(ごふく)
太物(ふともの)に対して、絹織物の称。
現代では絹以外の素材も含めた反物、和服地用の織物の総称。
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◇太物(ふともの)
絹織物を呉服というのに対し、綿織物・麻織物を総称した語。
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《反物の幅》
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◇並幅・並巾(なみはば)
反物の普通の幅。
鯨尺九寸五分(約36センチ)〜一尺(約38センチ)。
日本手拭いの幅がだいたい並幅です。
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◇広幅・広巾(ひろはば)
普通の反物より広い幅。並幅の倍。
鯨尺一尺九寸(約72センチ)内外。
大幅(おおはば)とも言います。
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◇半幅・半巾(はんはば)
並幅の半分の幅。
鯨尺五寸(約19センチ)内外。
半幅帯(はんはばおび)に使われます。
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《参考:洋服地の幅》
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洋服地は反物に比べて幅広で、幅の種類が多いです。
一般的に生地屋で売られている布地の幅は71cm(シングル幅)、90cm(ヤール幅)、
110cm、150cm(ダブル幅)あたりです。
洋服地で和服を作る場合、シングル幅(71cm)を縦二等分、または110cm前後
の幅の布を縦三等分に裁つと、だいたい並幅(36cm)になり、効率よく布地が
使えます。
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◇シングル幅
洋服地で約71センチ(28インチ)幅の布。主に木綿。
反物の広幅に近い。
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◇ヤール幅
洋服地で、幅が1ヤール(ヤード=91.44センチ)の布地。約91cm。
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◇ダブル幅
洋服地で、シングル幅の二倍の幅。
約142cm(56インチ)、または137cm(54インチ)。毛織物に多い。
●ごあいさつ●…………………………………………………………………………
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「裄丈」については第5号を参照してください。
「鯨尺」については尺貫法の回(第25号)
またはサイトを参照してください。
http://www.natubunko.net/kotoba07.html
●最近買った本●………………………………………………………………………
『きもの365日』群ようこ〈集英社文庫〉
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087477002/dearbooks-22
文庫書き下ろし日常エッセイ。
人気エッセイストが、一年間できるだけ毎日着物を着て生活した記録です。
まだ始めしか読んでいませんが、早々に針仕事と洗濯に頭を悩ませています。
大変だなと思いながら、群さんの暢気な語り口に笑わせていただきます。
和装の専門用語が頻出しますが、巻末に「きもの用語集」が付いています。
『手作りのゆかたと甚平—ヤング・ミセス・メンズ・子供』
レディブティックシリーズ no.2157〈ブティック社〉
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4834721574/dearbooks-22
大人と子どものゆかたや甚平(じんべい)の作り方と着付けの本です。
カラー写真とイラストで、縫い方を丁寧に説明しています。
反物や洋服地から用尺を裁つ方法も説明しています。
ちなみにこの本は、布地売り場の型紙コーナーで見つけました。
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