メールマガジン「和服の基礎知識」バックナンバー〈030〉 |
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○ ●○● 和服の基礎知識 ●○● 〜日本文化を愉しむために〜 ○
● 第30号 2004/04/01発行 ●
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【女袴】(おんなばかま)
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◆女袴(おんなばかま)
襞(ひだ)を前に5本、後ろに3本をとった行灯袴(あんどんばかま)。
前腰と後腰に2本ずつ計4本の幅広のひもがついています。
男袴と違い、後ろに腰板がありません。
後ろからの見た目は、前とほぼ同じで左右の紐が一本につながっています。
また、前も後ろも左右の脇あきに笹襞がついています(男袴は前のみ)。
前後の違いは、中央のひだの数が前のほうが多いことぐらいです。
素材はサージ(柔らかくて丈夫な綾織の毛織物または毛混合織物)。
色は海老茶色や紺色など濃い落ち着いた色。
近年は裾から色が徐々に変わるぼかしも多い。
※行灯袴(あんどんばかま)
右足と左足に分かれていないオーバースカート状で、
前と後に襞(ひだ/プリーツ)を取って足を動かしやすくした袴。
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◆女袴の着付け
着方は基本的に男の袴と同じです。
後ろ紐の結び目の始末を、前で蝶結びにするのが大きな違いぐらいです。
第15号(2003/12/11発行)・第16号(2003/12/18発行)参照
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(1) 着物を着る
肌襦袢・長襦袢を着た上に着物を着ます。手順は普通の女物の着物と同じ。
袴の裾から着物が見えないようにおはしょりを多くとり短めに着付け、
腰紐を締め、さらにおはしょりの上から腰紐を結びます。
着物のしわを整えて、伊達締めを締めます。
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(2) 帯の位置を決めて締める
袴を当てて、袴の前腰から1〜3cmくらい帯の上部が見えるように帯を締めます。
半幅帯を小さめの一文字結びにします。
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(3) 袴をはいて前紐を結ぶ
袴に両足を通します。
前腰から帯が少しのぞいた位置に袴を当てます。
左右の前紐を後ろに回し、帯の結びの上で交差させます。前に回して前紐を
左右から重ねます。
もう一度後ろに回して、帯の結びの下で左右の紐を結びとめます。
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(4) 後ろ紐を結ぶ
後腰を帯の上に乗せて、背中にそわせます。
後ろ紐を前に持ってきて脇で引き締め、一方を前紐にからめます。
左右の後ろ紐を蝶結び(両わな結び)にします。
(蝶結びにしてから、前紐に絡める方法もあります)
着付けたとき、裾線は前下がり後ろ上がりになります。
前から見ると帯の上端が見えますが、後ろからは帯は見えません。
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上に着る着物に決まりはありませんが、
色無地紋付や振袖あたりが一般的です。
振袖はせっかく裾に入れた模様が見えないのがもったいないという
意見もあります。
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袴の丈は着付けで調整できませんので、前もって裾丈を合わせておきます。
女袴をはいたとき、足元は白足袋+草履か、編み上げブーツです。
足袋は足首が見えないように長めのものを着用。
ブーツのときは袴の丈を短めにします。
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◆女袴の歴史(おんなはかまのれきし)
女袴が考案されたのは明治の初めです。
明治になると、女教師や女学生らは、すそを気にしないですむ男物の袴を
はいて外に出ました。
しかし、男物の袴を女性をはくのは奇異だとして文部省が禁止しました。
そこで、明治18年に華族女学校(学習院女子部の前身)が創設されたとき、
当時の学監だった下田歌子が宮中の女官がはいていた袴を元に
《女袴》を考案し、制服に指定したと言われます。
以後、日本各地の女学校が華族女学校の《海老茶の袴》を真似ました。
明治中期以降、海老茶の袴をはいて新しい時代を颯爽と歩く女学生は、紫式部
をもじって〈海老茶式部〉と呼ばれました。
矢絣(やがすり)の着物に海老茶の袴、編み上げ靴は明治の女学生の
普段着でした。
女物の着物は羽織を着ないのが正式ですが、
寒い日の普段着なら女袴に合わせて羽織を着ることもありました。
そんな女学生たちの式典の時の姿は、色無地紋付に紺の袴、足元は草履でした。
しかし、大正・昭和と女性の洋装が一般的になると、女学校の制服もセーラー
服やスカートに取って代わられました。
※海老茶色(えびちゃいろ)
黒みをおびた赤茶色。生きた伊勢海老の殻の色。
●ごあいさつ●…………………………………………………………………………
こんにちは。マガジンのご登録ありがとうございます。
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もう四月です。卒業シーズン過ぎてしまいましたね。
時季はずれでごめんなさい。
これからしばらくは和服の話をしていきます。
●おまけ●………………………………………………………………………………
◇女袴普及部
女袴についての歴史や豆知識など、いろいろ熱く語っています。
以前『彩識風信』で紹介したときから、URLが変更されています。
http://www.kariginu.jp/hakama/index.htm
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