メールマガジン「和服の基礎知識」バックナンバー〈021〉

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○  ●○● 和服の基礎知識 ●○● 〜日本文化を愉しむために〜  ○
●                   第21号 2004/01/29発行   ●
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【帯の結び方】(おびのむすびかた)
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■帯の結び方

前回お太鼓結びを取り上げましたが、その他の主な帯の結び方を紹介します。

基本的に胴を二周させたあと後ろでひと結びして、それぞれの結び方をします。
男物や半幅帯は、帯締めや帯揚げを使いません。

男の帯は腰骨で結び、女の帯は腹の上で結びます。
これは男女の骨盤の大きさの違いによります。

江戸初期は男女とも細い帯でした。
女物の帯はしだいに太くなったのに対して、
男物の帯は腰に刀を差すため女ほど太くなりませんでした。

◇女物の帯結び:角出し・文庫結び・一文字結び・貝の口結び・片ばさみ・
        ふくら雀・やの字結び
◇男物の帯結び:一文字結び・貝の口結び・片ばさみ・双輪結び・片わな結び

 参照:18号(紐の結び)・19号(帯の種類)

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《代表的な帯の結び方》

◆お太鼓結び(おたいこむすび)
20号参照
◇帯の種類:袋帯・単帯・名古屋帯

◆角出し(つのだし)
お太鼓結びの太鼓を張り出させた結び方。お太鼓から手先を出して見せます。
帯締めを使い、帯枕を使いません。
◇帯の種類:袋帯・単帯

◆文庫結び(ぶんこむすび)
垂れをたたんで羽根を作り、中央を手先で結んで締めます。羽根は垂らします。
浴衣・普段着には半幅帯で結びます。振袖には袋帯で羽根を大きく結びます。
「花文庫」「葵文庫」「片流し」などの変種も多い。
◇帯の種類:袋帯・半幅帯

◆一文字結び(いちもんじむすび)
文庫結びの羽根が水平になったもの。
袴の下には、男物は角帯、女物は半幅帯で結びます。
◇帯の種類:半幅帯・角帯

◆貝の口結び(かいのくちむすび)
帯の一端を折り返し、他の一端を二つ折りにして、これとこま結びに結ぶもの。
女性の浴衣や普段着、男性の普段着に結びます。
◇帯の種類:半幅帯・角帯

◆片ばさみ(かたばさみ)
垂れの先を胴に挟み込みます。
もとは武士が刀を差すときの結び方でした。
「さむらい結び」「浪人結び」「割りばさみ」とも言います。
女物の半幅帯、男物の角帯・兵児帯で普段着に結びます。
◇帯の種類:半幅帯・角帯・兵児帯

◆双輪結び(もろわむすび)
後ろで蝶結び(わな結び)にします。
「両わな結び(もろわなむすび)」とも言います。
男物の兵児帯で普段着に結びます。
◇帯の種類:兵児帯

◆片わな結び(かたわなむすび)
後ろで片結び(片蝶結び)にします。「引結び(ひきむすび)」とも言います。
男物の兵児帯で普段着に結びます。
◇帯の種類:兵児帯

◆ふくら雀(ふくらすずめ)
女性の振袖用の華やかな結び方。
お太鼓の脇上部から、背中に大きな羽根を出します。
◇帯の種類:袋帯・丸帯

◆やの字結び(やのじむすび)
振袖用の結び方。肩から背にかけて斜めにたてに太く
ひらがなの「や」の字の形に結ぶもの。
「立矢結び・竪矢結び(たてやむすび)」とも言います。
寛政(1789〜1801)の頃、歌舞伎俳優二代目瀬川菊之丞(路考)の考案した結び方。
江戸時代後期の腰元や武家の娘、明治時代のお嬢様によく見られます。
◇帯の種類:袋帯・丸帯

◆だらり結び
文庫結びの垂れを折りたたまず、大きくだらりと結び下げる帯の結び方。
江戸時代の婦人に流行し、現代でも京都の舞妓さんの衣裳に残っています。
「だらりのおび」とも言います。
◇帯の種類:丸帯

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《帯結び図解》

◆文庫結び
◎後ろ(略図)
          手
          ↓ 
      /‾‾\──\‾‾\ 
     /    |  |_ |
   ┌─\  /‾─────\|  ←羽根
   |  \/       |
   |            |←胴
   |            |
   └───────────┘ 

◆一文字結び
◎後ろ(略図)
     ____    ___     
     \   \───\  \ ←羽根
      \   |   |_ |
   ┌───‾‾‾──────‾ 
   |            |
   |             |←胴
   |             |
   └────────────┘ 

◆貝の口
◎後ろ(略図)
   垂れ↓
    へ ┌─-─┐/┐←手
  ┌ / \│   │ │─┐
  │/   │   │/  │
  │\  │  /    │←胴
  │ \/│ /     │
  └──\│/ ─────┘

◆片ばさみ
◎後ろ(略図)
 _________        
 |       \ /──────┐
 |        \       │
 |         \      │
 |_________ \     │
 /   /      ────┘
 \  /        \  /
  \/←垂れ       \/ ←手

●ごあいさつ●…………………………………………………………………………

 こんにちは。マガジンのご登録ありがとうございます。

           ×  ×  ×  ×  ×

 個人的に鑑賞するには文庫結びが好きです。
 十代の頃、文庫結びの着物を描くのに凝っていた時期がありました。
 着物なんてとても買えませんが、絵を描いているだけで満足していました。
 本を調べていろいろ着物の柄を描き込みました。
 人に見せられる出来ではありませんが、絵を見ると楽しさが思い出せます。

 振袖の帯結びについては、また別の機会に詳しく取り上げたいと思います。

●参考文献●……………………………………………………………………………

『はじめての私の着物』河村一子〈河出書房新社〉
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309267157/dearbooks-22
♪着物の楽しさに目覚めた若い女性の絵日記風な着物入門書です。
 A5判。カラーページ多し。
 イラストや写真がかわいくて眺めているだけでも楽しめます。

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[2006/01/03]
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