メールマガジン「和服の基礎知識」バックナンバー〈020〉 |
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○ ●○● 和服の基礎知識 ●○● 〜日本文化を愉しむために〜 ○
● 第20号 2004/01/22発行 ●
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【お太鼓結び/帯の付属品】(おたいこむすび/おびのふぞくひん)
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◆お太鼓結び(おたいこむすび)
女の帯の結び方の一種。
かけ(帯の締め始める方の端)を結び目の中に入れて太鼓の胴のようにまるく
結んだもの。おたいこ。
現代では、女物の着物の帯の結び方で一番普及しています。
留袖から普段着まで幅広く合わせられます。
構造上、帯揚げ・帯締め・帯枕など付属品を多く使います。
浴衣では普通お太鼓結びはしません。もっと簡素な結び方をします。
振袖もお太鼓結びはしません。もっと派手な結び方をします。
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◆お太鼓結びの歴史
今は着物の帯結びというとお太鼓ですが、これが広まったのは幕末から明治に
かけてです。
もとは歌舞伎役者、二代目瀬川菊之丞(俳名:路考/1741〜73)が流行らせた
「路考結び(ろこうむすび)」の変型でした。
文化年間(1804〜1818)、亀戸天神の太鼓橋再建の渡り初めに参加した
深川芸者が揃ってお太鼓結びにしたことがきっかけで話題になりました。
この時、結びが解けないように帯締めを使い始めたといわれます。
明治になって、田舎から上京した奥方の間で太鼓結びと羽織が都会風と好まれ、
普及しました。
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◆お太鼓結びの概略図
◇後ろ(略図)
________
/⌒\ \ ←お太鼓の山(帯山)
帯揚げ→ |‾‾‾⌒‾‖ |
|‾‾‾‾‾‖ |←お太鼓
帯締め→ ┝━━━━━‖ |
| ‖ |
└────/ /
|‾‾‾‾‾‾‾
↑ | | ←たれ(結びあがりのたれ・たれ先)
胴 └──────┘
←────→
帯幅
◇前(略図)
↓結び目
| ↓ |
|‾‾‾\/‾‾‾|←帯揚げ
帯↑|‾‾‾‾‾‾‾‾|
幅|| |←帯(前帯)
の||━━━◎━━━━|←帯締め
半|| ↑帯留め |
分↓|________|
| | | |
|_|__|____|←おはしょり
| | | |
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◆お太鼓の大雑把な結び方
胴に前帯を二巻きした後、後ろでひと結びします。たれの内側に帯揚げと
帯締めをいれて、たれを折りたたんでお太鼓の形を作り、手先をお太鼓の
中に入れ、帯締めを締めます。
詳しい結び方は省略します。たいていの着付けの本に載っています。
帯の長い袋帯では、お太鼓の部分が二重になった「二重太鼓」になります。
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◆帯結びの用語
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◇たれ
帯を結ぶとき、帯幅のまま丈を長く取る部分。
ほとんどの帯結びは「たれ」で形を作ります。
お太鼓結びではお太鼓の下に垂れさせる部分のことも「たれ」と言います。
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◇手・手先(て・てさき)
帯を結ぶとき、帯幅を半分にして(名古屋帯は半幅に仕立ててある)
丈を短く取る部分。たれの反対側。
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◇前帯(まえおび)
帯を半幅に折り、胴に巻く部分。名古屋帯では半幅に仕立ててあります。
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◆帯の付属品
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◇帯締め(おびじめ)
帯が解けないように、帯の上に締める紐。
帯の正面で飾り結びしたり、帯留めに通して留めたりします。
普通は組紐(くみひも)を使います。打紐(うちひも)とも言います。
丸紐と平紐に大別されます。
礼服には丸絎(まるぐけ)を結びます。
縫い目が表に見えないように縫って中に綿を入れた飾り紐です。
お太鼓結びでは、帯締めは普通は正面でこま結びにします。
ただし、喪服や茶席での装いには帯留めは使いません。
茶席でいけないというのは、帯留めで茶器を傷つける心配があるからです。
同じ理由で指輪もはめてはいけません。
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◇帯揚げ(おびあげ)
帯枕を隠すのと、装飾をかねた布。
帯枕を包んで、背中のお太鼓の中に通します。
正面で先に帯枕についているの紐を結び、次に帯揚げをこま結びにし
端を帯の内側に差し込みます。
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◇帯枕(おびまくら)
帯を締める時、帯揚げの中に入れて用いる長円形の枕状の和装小物。
お太鼓の山の形を整えます。身体に密着させる面は硬く、反対側はふくらみを
出すため綿を布で包んで柔らかい。
本体をガーゼでくるんでさらに帯揚げにくるんで使います。
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◇帯板(おびいた)
帯を締める時、形を整えるために、前側の帯の間に挟んで用いる和装小物。
厚紙を芯にして布を貼って作った板状のものです。
胴に巻いた帯の一巻き目と二巻き目の間に挟みます。
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◇帯留め(おびどめ)
帯締めに通して帯の前正面につける装飾品。
帯留め用の金具の上に、宝石やガラス、金属、布などの小さいな細工物を
飾ります。
なくても不都合はありませんが、アクセサリーとして楽しめます。
●ごあいさつ●…………………………………………………………………………
こんにちは。マガジンのご登録ありがとうございます。
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現代では帯結びと言うとお太鼓結びが一般的です。
あまり結び目を作らないで折りたたむので帯地が傷みにくいなど
利点が多いようです。
●参考文献●……………………………………………………………………………
『大江戸ものしり図鑑』花咲一男:監修〈主婦と生活社〉
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/439112386X/dearbooks-22
……などなど
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