メールマガジン「和服の基礎知識」バックナンバー〈007〉

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○  ●○● 和服の基礎知識 ●○● 〜日本文化を愉しむために〜  ○
●                   第7号 2003/10/16発行   ●
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【衣紋】(えもん)
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◆衣紋(えもん)
「衣文」とも書きます。

着物の衿を、胸の所で合わせた部分。

と、いうのが国語の辞書的解釈。

普通、着付けの本では「衣紋」とは、後ろ衿の首から離した部分を指します。
着物の衿を胸の所で合わせた部分は「衿合わせ」と言います。
当マガジンでは、着付けの本の言い方を使わせていただきます。

もともと「衣紋」とは法式(儀式の決まり)にかなった装束の着方だそうです。
「衣紋を繕う(つくろう)」というと、衣服の乱れを整えるという意味です。


◇「衣紋を抜く」

背中心を引っぱって、後ろの衿を首から離すこと。
「衿を抜く」とも言います。
あきはだいたい、握ったこぶし一つ分。
女性のみの着付け方法です。男性や子供は後ろ衿を首に沿わせます。

江戸時代、髪につける鬢付け油(びんつけあぶら)で衿を汚さないために、
衣紋を抜くようになりました。
髪を大きく結い上げるため、見た目のバランスをとるためでもあるようです。
時代が下り、鬢付け油を使わなくなっても衣紋を抜く風習は続きました。
衣紋を抜いて襟足を見せることで、色気が出るためだそうです。

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◆女物の和服の衿元

◇前から見た状態

           |     |
          _.|  首  | ._
         /\\     //\ ←※半衿は後ろにいくほど
        /  \^\  /^/  \  出てる部分が狭くなる。
 ‾‾‾‾‾‾‾\   \ ^/^ /   /‾‾‾‾‾‾
   |     \   \ /←─── 衿合わせ|
   |      \   /   /      |
   |       \ /   /       |
   |        /   /        |
   |        /   /         |  
   |       /\  /|         |  
   |      /  \/ |         |  
   |     /   /  |         |  
   ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾  

◇後ろから見た状態

           |     |
           |  首  | ←衣紋
          /\     ノ\   
_________/  ‾‾‾‾‾  \____________
  |      \    衿    ノ       |    
  |       ‾───┬───‾        │    
  |           │ ↑          |    
  |      背中心─→│ |          |    
  |           │ |          |    
                |
               ※後ろからは、半衿はほとんど見えない。

      
◇横から見た状態
          
   | 首  | 衣紋 ※こぶし一つ分あき
   |    |←─→
 前 |/⌒‾‾‾‾⌒\ 後ろ
   /   衿   /
  / /⌒‾‾⌒\/
  / /  肩   \
 / /        \
 /          \

※衣紋のあきが大きすぎると、玄人っぽい。

※長襦袢も長着も、先に後ろの衣紋を抜いてから、前の衿合わせを整えます。

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◆衣紋掛け(えもんかけ)

肩幅ほどの短い棒の中央に紐をつけて、和服の袖を通して吊るしておくもの。
着物用ハンガー。

◆衣桁(いこう)

着物などを広げて掛けておく家具。形は鳥居に似た四角い骨組み。
現在、多くは真中から蝶番(ちょうつがい)により畳む仕掛け(衣桁屏風)。
衣架(いか)。みそかけ。かけさお。
これを「衣紋掛け」と呼ぶこともあります。
呉服屋の店頭で、着物を広げて掛けてあるのをよく見かけます。

●ごあいさつ●…………………………………………………………………………

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                      ×  ×  ×  ×  ×

 11月15日は七五三のお祝いです。
 呉服屋さんや写真屋さんの店頭に、子供の晴れ着が飾られています。
 当マガジンも次回に子供の着物、その次に七五三の晴れ着を取り上げます。

 それに合わせてアンケートのご協力をお願いします。
 結果は七五三の晴れ着を取り上げる第9号に掲載します。

(アンケート略)

 ご自分が子供のときのことでお願いします。
 親も覚えていない、写真も8ミリフィルムもビデオも残っていないなら
 「不明」で結構です。

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[2004/10/17]
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