メールマガジン「和服の基礎知識」バックナンバー〈005〉
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○  ●○● 和服の基礎知識 ●○● 〜日本文化を愉しむために〜  ○
●                   第5号 2003/10/02発行   ●
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【着丈・身丈・裄】(きたけ・みたけ・ゆき)
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◆着丈(きたけ)
その人の身長に合わせて着付けたときの、着物の肩から裾までの長さ。

寸法は、後ろ首のつけねの骨から背中にそって、かかとまでを計ります。
女物の長着は、腰で着物をたくし上げ「おはしょり」を作って着丈を調整します。

◆身丈(みたけ)
仕立て上がりの和服の、肩から裾までの長さ。

長襦袢や男物の長着は対丈に仕立てます。
女物の長着は着丈+おはしょり分(27〜30cm/だいたい頭と首の長さ)。
女物の身丈は、身長とほぼ同寸になります。

◇対丈(ついたけ)
和服を仕立てる時、着丈に仕立てること。
身丈がそのまま着丈の着物のことです。

男物の長着は、着丈より長めに裁って対丈に仕立てます。
余分な丈は「内揚げ(うちあげ)」と言って、
帯に隠れる位置で内側に縫いこんでおきます。
裾が傷んだり背の高い人が着るときに、仕立て直して内揚げから布を出します。

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◆裄(ゆき)
和服の、背縫い(背中心)から袖口までの長さ。
肩幅(身頃の肩の背中心から袖付け)+袖幅(袖付けから袖口)=裄

寸法は、手を肩の真横に伸ばした状態で、
首の後ろつけ根中心から肩先を通って、手首までの長さを計ります。
手を下ろすと、袖口から手首がはみ出す長さになります。

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◆身丈・裄(略図)

   裄(ゆき)    肩幅   袖幅
 ←────────→←───→←────→
        _____
_______/_____\________
│↑   |↑‾  │  ‾ |     │ ↑
││袖  |肩 ↑ │    |   袖→│ │
││丈  |山 衿 │  袖→|   口 │ │
││   |    │  付 |     │ │
││   |    │  け |     │ │身
│↓   │     │    |     │ │丈
└────│    │    │─────┘ │ 
     |    │    │       │
     |    │ 後  │       │
     |  背 │ ろ  │       │
     |  縫→│ 身  │       │
     |  い │ 頃  │       │
     |    │    │       │
     |    │    │       │
     |    │    │       │
     |    │    │       │
     |    │    │       │
     |    │    │       │
     |裾   │    │       │
     │↓   │    │       ↓
      ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾ ‾‾‾‾‾‾‾‾     

◇女物の着丈(帯を締めた状態)

_______/\‾‾‾/\________
│    | \ \ / / |     │ ↑
│    |  \ / /  |     │ │
│    |   / /   |     │ │
│    |  / /    |     │ │
│    ├────┴────┤     │ │着
│    │   帯     |     │ │丈
└────│         │─────┘ │ 
     ├┬┬──┬────┤       │
     ├┼┼──┼────┤←おはしょり │
     │└┤  │    │       │
     │ │  │ 前  │       │
     │ │  │ 身  │       │
     │ │  │ 頃  │       │
     │ │  │    │       │
     │ │  │    │       │
     │ │  │    │       │
     │ │  │    │       │
     │ │  │    │       ↓
      ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾ ‾‾‾‾‾‾‾‾     
※女物の着丈は、おはしょりで調整。
※男物は対丈なので、着丈=身丈。おはしょりは不要。

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女物はおはしょりで丈の調整ができます。
着付けに手間がかかりますが、少々背の違う人でも着物の貸し借りができます。

一方、男物は対丈で仕立ててあるので、着付けは楽です。
しかし着る人の着丈に合っていないと見た目がよくありません。

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 当マガジンは「和服」をテーマにしていますが、
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 歴史とか民俗学の範疇の雑学話をしていきます。
 老若男女どなたにも読んでいただきたいと思います。

●参考文献●……………………………………………………………………………

『図説江戸4 江戸庶民の衣食住』竹内誠〈学習研究社〉
ISBN4-05-401931-5
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4054019315/dearbooks-22

江戸時代の庶民の着物、食べ物、住居、道具などをやさしく解説しています。
写真や図版が多く、ぱらぱら眺めるだけでも楽しめます。

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[2004/09/26]
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