メールマガジン「彩識風信」バックナンバー〈025〉

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               『彩識風信』 第25号《牡丹色》
 ……………………………………………………………2003/04/22発行………
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※※ 《注意》後半で、黒澤明監督の映画『天国と地獄』の内容に  ※※
※※ 触れています。『天国と地獄』未見で、内容を知りたくない  ※※
※※ 方はお気をつけ下さい。                  ※※



◆牡丹色(ぼたんいろ)
 ◇ 色見本 ◇
 マンセル:3RP 5/14
    RGB値:#C94093
     CMYK:C3 M77 Y0 K0

 ◇あざやかな赤紫〈JIS系統色名〉
 ◇牡丹の花のような色。紫がかった紅色。濃い桃色。

ボタン(牡丹)は中国原産のキンポウゲ科ボタン属の落葉低木。
五月ごろ、紅・白・紫・黄色などの大輪の美しい花を咲かせます。
中国で「花王(かおう)」と称します。

また、イノシシ(猪)の肉を、別名「牡丹(ボタン)」と言います。

             ◆ ◇ ◆

《牡丹色の煙》

※※ 黒澤明監督の映画『天国と地獄』の内容に触れています。   ※※
※※ 『天国と地獄』未見で、内容を知りたくない方はご注意下さい。※※






誘拐事件が起こり、人質は無事戻りますが、身代金を犯人に奪われます。

警察の捜査の手が近づいたと思い焦った真犯人が、身代金の入っていた鞄を
処分します。
その鞄には、燃やすと牡丹色の煙が仕掛けがしてありました。

全編白黒映画なのですが、牡丹色の煙の部分だけ画面に色をつけていました。

立ち上る牡丹色の煙を手がかりに、警察は真犯人を検挙します。
事件に関連して何人も殺している真犯人は、死刑の判決を受けます。

死刑の判決を受けた真犯人は、被害者の重役に面会を願います。

重役は、事件のために会社を乗っ取る資金が用意できなくなり、借金を背負い
邸宅を取られ会社も追われました。しかし、家族はついてきてくれたし、
身代金を払ったことで世間の同情を得て、一緒に仕事をしようと誘いをかける
人がいて、新しい人生を歩んでいます。

真犯人は、死刑の宣告を受けても何も怖くない、だから罪の懺悔もしないと
虚勢を張っていますが、結局は惨めに肩を震わせて終幕します。

他人の幸福を羨んで人としての道をはずして、大金を手に入れても、
周囲の人に気を許せず、残ったのは虚しさだけでした。




◆ごあいさつ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 こんにちは。マガジンの登録ありがとうございます。

             ◆ ◇ ◆

 県内で誘拐殺人事件が起こりました。
 人を殺しておいて、金を奪おうとする冷酷さに気が滅入ります。
 犯罪で金を手に入れても、犯人は周囲に言えない秘密を抱えて怯えて
 惨めになるだけじゃないですか。
 事件の関係者が誰も幸せになれないことをわざわざ起こすなんて、
 虚しくなります。

◆参考文献 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

『新版 色の手帖』永田泰弘:監修(小学館)
『色々な色』ネイチャー・プロ(光琳社出版)※現在は角川書店より刊行
『日本の傳統色 その色名と色調』長崎盛輝(青幻舎)ほか

◆おまけ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

上で紹介した映画が収録されたDVDは以下から購入できます。

◇『天国と地獄』東宝ビデオ 
 監督:黒澤明/出演:三船敏郎、山崎務ほか
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00007M8M5/dearbooks-22

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[2003/11/04]
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