メールマガジン「彩識風信」バックナンバー〈021〉

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               『彩識風信』 第21号《すみれ色》
 ……………………………………………………………2003/03/25発行………
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◆いろことば(19) 《菫色…すみれいろ》‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 マンセル:2.5P 4/11
    RGB値:#714C99
     CMYK:C65 M72 Y0 K0

 ◇あざやかな青紫〈JIS系統色名〉
 ◇スミレ(菫)の花のような鮮やかな青紫色。

  スミレ(菫)はスミレ属スミレ科の多年草。
  日本だけでも50種以上の仲間があります。
  地面を這う細長い三角形(心臓形)の葉の間から、
  春に花柄を出し、花びらが五枚ある花を咲かせます。

  スミレは古くから日本にある花ですから、
  菫色という語は昔からありました。
  明治以降は、「バイオレット(ヴァイオレット/においすみれ)」の
  ロマンチックなイメージが欧米から入ってきました。

             ◆ ◇ ◆

《すみれ色の涙》

♪ 淋しかったから あなたにさよならを
  そしてひとつぶ すみれ色の涙

「すみれ色の涙」(作詞:万里村ゆき子/作曲:小田啓義)

1968年に〈ジャッキー吉川とブルー・コメッツ〉が歌ってヒットさせ、
1981年に岩崎宏美が歌ってリバイバルヒットしました。
「すみれ色」が出てくる歌としてはどうしてもはずせません。

             ◆ ◇ ◆

《降る雨は菫色》

♪ 海が見たいわって言いだしたのは君の方さ
  降る雨は菫色 時を止めて抱きあったまま

「雨のウェンズデイ」(歌:大滝詠一/作詞:松本隆/作曲:大滝詠一)

海に車を走らせて、雨の中で別れ話をする恋人たちの歌です。
《菫色》の雨が、傷つけあう二人の心を象徴していて哀しいですね。

             ◆ ◇ ◆

《星菫派》(せいきんは)
星や菫(すみれ)などに託して恋愛を歌う浪漫詩人の一派。
明治後期、雑誌「明星」に拠った与謝野寛夫妻一派の称。
転じて、優美で可憐な詩風の抒情詩人を指していう。〈広辞苑 第4版〉

◆ごあいさつ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 こんにちは。マガジンの登録ありがとうございます。

             ◆ ◇ ◆

 桜の花に先立ち、スミレの花が咲きました。
 歩道のアスファルトの隙間から生えているスミレの花をたまに見つけます。
 人の手で植えられたパンジーより、自生のスミレにひかれます。
 清楚でありながらたくましく生きているところが好きです。
 かわいい顔をして図太いとも言えますけど。

 雑草と思っていた草が、思いがけず愛らしい花を咲かせているのを見つけると
 うれしくなります。
 春先は道端で咲いている花をついつい探してしまいます。


◆参考文献 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

『新版 色の手帖』永田泰弘:監修(小学館)
『色々な色』ネイチャー・プロ(光琳社出版)※現在は角川書店より刊行
『日本の傳統色 その色名と色調』長崎盛輝(青幻舎)ほか

◆おまけ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

上で紹介した曲が収録されたCDは以下から購入できます。

◇「すみれ色の涙」岩崎宏美
 『続・青春歌年鑑 1981』(オムニバス)テイチクエンタテインメント
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00006RTJC/dearbooks-22

◇「すみれ色の涙」ブルー・コメッツ
 『シングルズ』日本コロムビア
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005EMI0/dearbooks-22

◇「雨のウェンズデイ」大滝詠一
 『A LONG VACATION 20th Anniversary Edition』SMR
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005HWVQ/dearbooks-22

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[2003/11/04]
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