メールマガジン「彩識風信」バックナンバー〈020〉

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               『彩識風信』 第20号《桜色》
 ……………………………………………………………2003/03/18発行………
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◆いろことば(18) 《桜色…さくらいろ》‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 マンセル:10RP 9/2.5
    RGB値:#FBDADE
     CMYK:C0 M7 Y3 K0

 ◇ごく薄い紫みの赤〈JIS系統色名〉
 ◇サクラ(桜)の花びらのような色。やや紫がかった淡紅色。

             ◆ ◇ ◆
《桜色に染まった肌》

ほんのり肌(特に頬)の色が上気して赤みを増している状態。
気持ちよく興奮している時に使います。
例えば、うれしくて逆上せて顔を火照らせている時や、
ほどよく酒の酔いが回っている時。

健康な爪の色にも使われます。

             ◆ ◇ ◆
《桜唇》(おうしん)

紅い桜桃(ゆすらうめ)の実のような唇。
美女の唇を形容する漢文由来の言い回し。
「桜色の唇」という場合は、さくらんぼのような紅い唇。
「桜色」のような薄い紅色ではなく、「チェリーレッド」のような強い赤。

             ◆ ◇ ◆
《桜湯》(さくらゆ)

日本古来のハーブティーの一種。
塩漬にした桜の花を湯に入れた飲物。
婚礼や見合いの席では「茶を濁す」のを避けて、
緑茶の代わりに桜湯を出します。

中学生の頃、熊井明子さんの『愛のポプリ』(講談社)が愛読書でした。
ポプリの材料や作り方の情報を熊井さんが集める話や、
花や香料に関するエッセイと、実際のポプリの作り方の本です。
まだ日本では「ポプリ」が一般的に知られていなくて、
手芸雑誌あたりにちらほらと記事が出始めた頃でした。
ラベンダーやレモングラスがどんな匂いか
思い描くだけでうっとりしました。

『愛のポプリ』に出てくる桜湯の話を読んで、
桜の花の塩漬けを作りたくなりました。
当時の私の行動範囲には八重桜の木がありませんでしたので、ソメイヨシノの
花びらをきれいに拭いて、小さなガラス瓶に塩と一緒に漬け込みました。

本当の桜湯に使うのは、咲きかけの八重桜の花をガクごと塩漬けしたものです。
今ではスーパーでも桜湯用の桜の花の塩漬けが売られています。
桜の花の塩漬けが乗ったあんパンや和菓子も珍しくありません。

でもあの頃は、手に入らないからこそ想像力を刺激されました。
ソメイヨシノの花びらの塩漬けも、
瓶にふたをしておくと10年ぐらいはほのかに香っていました。

◆ごあいさつ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

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             ◆ ◇ ◆

 《前回第19号の訂正》
 「石走る……」の歌の詠み人の漢字が間違っていました。
 志貴王子× → 志貴皇子○ (しきのみこ)
 天智(てんじ)天皇の皇子(親王)で光仁(こうにん)天皇の父ですから
 「王子」ではないのです。

 万葉集では「志貴皇子」と表記されますが、
 歴史書や皇室の系図では「施基皇子」と書くことが多いです。
 他に「芝基」「志紀」とも書きます。
 同じ読みの「しきのみこ」でも「磯城皇子」は天武天皇の子で別人です。

◆参考文献 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

『新版 色の手帖』永田泰弘:監修(小学館)
『色々な色』ネイチャー・プロ(光琳社出版)※現在は角川書店より刊行
『日本の傳統色 その色名と色調』長崎盛輝(青幻舎)ほか

◆おまけ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

上で紹介した『愛のポプリ』はすでに単行本も文庫版も入手困難です。
代わりに熊井さんの花に関するエッセイで、現在入手可能な本をご紹介します。

◇『新編 香りの百花譜』熊井明子
 千早書房(2000年刊行)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4884922557/dearbooks-22

◇『だれでもできる 熊井明子のポプリ教室』熊井明子
 誠文堂新光社(1999年刊行)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4416899017/dearbooks-22

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[2003/10/14]
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