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『彩識風信』 第13号《鈍色》
……………………………………………………………2003/01/28発行………
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◆いろことば(11) 《鈍色…にびいろ》‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
◇ 色見本 ◇
マンセル:N4
RGB値:#5E5E5F
CMYK:C0 M0 Y0 K75
◇暗い灰色。薄墨色。濃い鼠色。
「にぶいろ」とも言います。
平安時代は喪服に使われました。
青みがかった鈍色は「青鈍(あおにび)」と言います。
薄い鈍色は「薄鈍(うすにび)」と言います。
◆ ◇ ◆
《鈍色の空》
どんよりと曇った空や海の色に使われます。
同じように曇った空や海の形容に使われる色に「鉛色(なまりいろ)」
があります。この色は鼠色に少し青みが入ります。
前回の「群青色」が晴れた空や海を指すのと反対になります。
◆ ◇ ◆
平安文学で鈍色の服が出てくれば、喪服のことです。
『源氏物語』にも登場します。
死者に近い人ほど濃い鈍色を着ます。
鈍色は、ドングリ(団栗)の実(またはかさ)を煎じて煮出した汁で染めた色
と言われます。ドングリはナラ・カシ・カシワ・クヌギなど、かさ(椀状の殻)
がついた木の実を指します。染料のクヌギ(またはドングリ)の古語から、
鈍色のことを「橡色(つるばみいろ)」とも言います。
色を定着させるため鉄媒染すると濃い鼠色(黒橡・くろつるばみ)、灰汁媒染
すると黄褐色(黄橡・きつるばみ)になります。
橡色は奈良時代は庶民の服の色でしたが、平安以降は貴族の服に使われました。
黒橡(くろつるばみ)は特に貴人の喪服の色とされました。
ただし、奈良時代は黒橡を「橡色」、黄橡を「黄橡」と言い、
平安時代には黒橡を「黒橡」、黄橡を「橡色」と言ったという説もあります。
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このマガジンにおける参考文献、色見本については
バックナンバー《http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000098559》
から、創刊号(2002/10/22発行)をお読みください。
◆参考文献 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『新版 色の手帖』永田泰弘:監修(小学館)
『色々な色』近江源太郎:監修/ネイチャー・プロ編集室(光琳社出版)
※現在は角川書店より『色の名前』と改題し再刊行
『日本の傳統色 その色名と色調』長崎盛輝(青幻舎)……などなど
◆おまけ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
上で紹介した本は以下から購入できます。
◇『新版 色の手帖』
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◇『色の名前』
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◇『日本の傳統色 その色名と色調』
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