メールマガジン「彩識風信」バックナンバー〈010〉

□—————————————————————————————————□
 ………………………………………………………………………………………
               『彩識風信』 第10号《紅白》
 ……………………………………………………………2003/01/07発行………
□—————————————————————————————————□

◆色のコラム 《紅白…こうはく》‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 ◇赤色と白色。
  (紅色と白色とはあまり言いません。)
  対抗試合で二組に分かれて競技する場合の色分けに使う場合と、
  祝いのしるしで対になる色として組み合わせて扱う場合があります。

紅白試合で二組に分けるときは「赤組と白組」。
この場合、「紅」はあざやかな赤。「白」はその反対の無彩色で色分けします。
紅白試合は「源平試合」とも言います。
白旗は源氏、赤旗は平氏のしるしです。

紅白試合には、身内の練習試合というイメージがあります。
負けたら後がないという悲壮感は感じません。
勝負をつけることより、場を盛り上がることが目的のような気がします。

             ◆ ◇ ◆

おめでたい席、ご祝儀で食べるお菓子や饅頭、餅は紅白に染め分けます。
こちらは祝いのしるしです。
たいてい白い食品に食紅で色をつけます。
紅白と言っても、食べ物には旗のような鮮やかな赤色をつけることは
あまりありません。
薄桃色から、せいぜい濃い桃色です。

紅白の食べ物が並んでいた場合、私はかまぼこは赤、饅頭は白に手が出ます。
普段食べなれている色のほうが美味しそうに見えます。

             ◆ ◇ ◆

《紅白の幕》

葬式など凶事の席で使う白黒の太い縦縞に上縁が横に黒い幕は
『鯨幕(くじらまく)』と言います。
これは昭和頃から葬儀屋さんで使い始めた言葉のようです。

歌舞伎の舞台で使われる萌黄(もえぎ)・柿・黒(緑色・橙色・黒色)の三色の
布を縦にはぎ合せた引幕は『定式幕(じょうしきまく)』と言います。

一方、紅白の幕には定まった名前は見当たりません。

式場・会場などに張りめぐらす幕を『幔幕(まんまく)』と言います。
縦に一幅ごとに色のちがう布を用いた幕で、『斑幕(まだらまく)』とも
言います。
色は紅白に限りません。黒白も青白(浅葱色と白)もあります。

紅白などの布を、横に幾段にも縫い合せた幕は『段幕(だんまく)』と言います。

             ◆ ◇ ◆

花見の宴で張られる幕は『花見幕』『花の幕』と呼ばれます。
正月に遊ぶ花札の「桜」の札に桜の花と幕が描かれていますが、
段幕だったり模様の幕だったりします。

ちなみに花見の席で着る晴れ着は『花衣(はなごろも)』と言います。

  花衣 ぬぐや纏わる 紐いろいろ
                 杉田久女

◆ごあいさつ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 あけましておめでとうございます。
 マガジンの登録ありがとうございます。

 年の初めなのでいつもと趣向を変えて、
 おめでたい色の取り合わせについて書いてみました。
 来週からは通常通り一つの色の名前を取り上げていきます。

             ◆ ◇ ◆

 この年末は珍しく「紅白歌合戦」を見てしまいました。
 中島みゆきさん目当てで。
 例年ならナンシー関画伯のコラムを読めば、テレビ番組を見ていなくても
 知っておくべきポイントが押さえられるのに、もう読めないんですね。
 今ナンシーさんの新刊を読んでいるので、よけいせつなくなります。

……………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………

『旧い漢字の使い方』週2回刊行
詞己が発行しているもう一つのマガジンです。
常用漢字とそれに対応する旧字・異体字・俗字・略字、または読み方や意味が
同じだけど別の漢字などをご紹介します。
2003年1月8日(水)創刊予定
登録・解除は http://www.mag2.com/m/0000102660.htm からできます。

……………………………………………………………………………………………

〈彩識風信バックナンバー〉目次に戻る
〈メールマガジン〉に戻る

[2003/10/14]
無断転載禁止/リンクはフリーです
Copyright(C) 2001-2003 詞己 All rights reserved.